東京都 Ｙ．Ｍ（２９歳 主婦）
三日体験修行を終えて、今とてもスッキリとした気持ちです。もちろん、抱えている問題が解決した訳ではないので不安や、恐れや傷みをまだ感じている部分はありますが、来る前は、抱えている問題にとらわれ、自分というものがまるでそれだけによって形成されいるかのようでした。今は、自分の中のほんの一部分となり、その居場所を作ってそれを容認できているような気がします。
二日目までは、私の「かっこいいところを見せたい、かっこわるいところは見せたくない」という強い虐栄心から(この虐栄心が強いという自分もこの行で初めて気付いたのですが)自分を見つめる、つきつめてみるという作業がとても大変で辛く感じていました。自分を見つめ、さらけ出すということはすごく恥ずかしく勇気のいることです。それが、なかなかできなかった私に御住職が根気よく、文章に書くことを勧めてくださったお陰で、自分の良い処、悪い処を客観的に見ることができました。
そうすると自分がどうしていきたいのかということも少しずつ見えてきたのです。そうするとまるで霧が晴れていくかのようにスーっと軽くなることができました。今回、人生で、初めての壁にぶつかり、「このままではいけない」ということは分かっていながらもどうにも自分一人では解決の糸口が見つけられなくて、他力本願のような気持ちで参加を決意しました。
また、ここへ来ることで現実生活の苦しみから一時でも遠のけるという逃げの気持ちも多分にありました。ですからこの行に参加するということ自体でも何て自分は弱い人間なのかと責めている部分がありました。
しかし、今は本当に参加して良かったと思っています。なぜなら、自分の苦しみを乗り越えるのは結局は自分の力でしかないからです。御住職や奥様は自分の問題に変わりに答えてくれるのではなくそのすべてを教えてくれるにすぎないからです。
それでも、「自分の問題を手助けしてもらうなんて子供じゃないんだから」と思う人もいるかもしれませんが、足りない部分を助けてもらうのが何がいけないことなのかと今は感じています。今ここで助けてもらったことと同じにことを人にする力が自分に無いとしても、自分ができて、他の人に足りていない困っている部分があればそれを助けることはとても自然なことだと思います。これからは、そのように生きていきたいと思っています。
今日、ここに来るまで、仏様は身近なものでしたが一体何を言っているのかさっぱり分っていませんでした。難しい言葉や漢字ばかりで理解できないし、自分とは関係ないから理解しなくてもいいや、と思っていました。しかし、今の言葉に置き換えて、一つづつ説明していただいているうちに、根本は何も難しいことをいっている訳ではなく、小さい頃から親や学校から教えてもらったようなことが書いてある。当然のことといえば当然のことが書いてあるだけだと感じました。
でもそれが深くつきささったり、思い出させてくれたり、そしてそれらを実行することの難しさを改めて感じたりしました。これらすべてのことをいつも気に溜め生きていければ素晴らしいのでしょうが。それは今の私には難しすぎるので、自分の抱えている問題点と照らし合わせせめて以下の点は常に溜意しようと思います。世の中には常にというものは何一つ無いことを知り自分らしく正直に生き、あんどし、立ち止まってしまうのでなく、常に精進しつづけること、思いやりの心を持つこと、そしてそれらがけして自分本位にならないように、ときには、客観的な視点で物事を見・判断することです。
文章に書くとあたり前のことですが、実際に忘れず行動していくのは私にはとても難しいことだと思います。実社会に戻ると、忙しすぎたり、歪んでいることなのにそれが道理とはなってしまっていたりして、また知らず知らずのうちに社会にのみ込まれ、忘れ見失ってしまうときが来るかもしれません。でもきっと今こうして感じたことは体の中のどこかには記憶され続けるし、もし見失った時が来ても次は思い出せばよいだけなので簡単です。またその時点から精進していけばよいと思っています。そういう意味でも今回こうして考える、感じる時間が持てたことは素晴らしいことだったと思います。
こうして自分の、自分なりの格となる部分を持てたことに感謝したいと思います。慣れない環境の中での三日間の生活で不自由に感じることも多々ありましたが、悩みを抱えているのは自分だけではないということが実感できました。また自分の心が落ち着いてみると、山の香りや鳥のさえずり、自然の色や物を食べることの喜びを感じている自分に気付きました。改めて気付いてみると自分がいかに自然が与えてくれているものに無頓着であったかを知りました。また常に与えてくれるのが当然だと思っていました。
それは親に対してもまた主人に対しても同じように思っていたようです。今日、奥様のおいしい食事をいただいて心から主人にこれを作ってあげたいという気持ちがあふれてきました。
今回、悩み始めてからあまりに苦しいので、もう別れてしまいたいと感じたりしていました。そのうちに本当に私は相手に愛情が残っているのか、と疑問に思ったりしていました。でも、自分がまだ相手に愛情を持っているということが分かってとても嬉しいです。相手が私に対し、どう思っているかは分かりませんので、拒絶されたらひどく傷付くと思うし、苦しいと思うのですが、少なくとも自分の愛情を自分が確信していたら、迷うことなく相手にぶつかっていけると思うのです。
今回、感じた様々なことを恐れることなく素直に相手に話してみたいと思います。常に相手のことを思いやれる。心からのありがとうが言える人になっていきたいと思います。次に御住職と奥様にお出会いする機会があれば、「良い顔になったね」といっていただけるように頑張りたいと思います。本当にありがとうございました。
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