山形市 Ｈ．Ｍ（２６歳 会社員）
私が三日間坊さん修行を申し込んだ理由は、最大の理由は、自分を変えたいと言うことでした。それもフルモデルチェンジで・・・。私は現在、山形県の山県市に住んでおり、修行に入る日に、東京の実家へ行き、その夜旧友と再会した後、朝一番の電車でこの寺に来ました。
正直申しまして、少し二日酔いと寝不足で入山する橋の前で、３０分ぐらい休んでいました。その時の私は、修行に入る前にこんな事をやっていて自分は、なんてバカなのだろうという思いが込み上げてきました。
その時は、大変失礼な思いでしたが、「どうせ、こんな事では自分を変えるのはダメだろう」という思いが込み上げてきました。そんな思いで、少しの期待と大きな不安(大変失礼な書き方で申し訳ありません)で、橋を渡り、山へ登って行く階段を、上がって行くに連れて、無数の登り旗が立っていて、それには、『南無出世観音菩薩、商売繁上、○山○夫』みたいな事が書いてあり、私は、「おやおやいろいろと皆さん全国から願いきているなぁ!」と思っていました。
でも、「自分もそうじゃねえか!」とすぐ自分で自分を突っ込みました。そんな思いと状況の中、無事着き、本堂で作務衣に着がえ。そして修行の大まかな説明を受けた後、机に向かい自分の内観について(悩み、自分の性格で好きな所、嫌いな所など)書くように指示をうけました。私は書く事、読む事は、得意な方でなく、特に、作文は大の苦手で、普段チョッとした、文章を考えるのも、後から、つけ足しや削除が簡単にできるワープロで打つぐらいでした。
しかも、考える内容が自分の内面や普段からの考え方についてなので、とても苦戦しました。また私の性格は、小心者で臆病な性格なので、何時もこういうアンケートの様なものは、適当に、嘘も含めて書いていました。しかし、今回の体験修行を通して何かにつけて共通していた点は、とても自分の中で本当の自分と素直に会話できたということでした。したがって、アンケートを書いている時、素直に自分と会話しながら書けました。しかし、そのアンケートを、住職様に読んで頂きましたが、まだ、自分に正直になれていないと指摘されました。(今この感想文を書いている自分は、おかげさまで、とても正直になれたと思います。)そんな初めての体験をした後、また初体験である、読経をしました。
私は正座が苦手で、今まで３０分以上やった事などありませんでしたので、案の定、１時間以上近くなった時、正に、脂汗が出てくる状態になりました。その時の私の思いは、以下の様に思ってました。「俺は何やってんだ、山形からわざわざ来て、なんでこんな辛い思いをしているのだろう。同じ千葉に行ったんだから、そのまま、成田へ行って飛行機でグアムかサイパンで楽しく遊んでいた方が良いのに俺はバカだなぁ」と。
そんな思いをしながらやっと読経が終わり、やっと、夕食の時間ににりました。朝４時に食べた以来の、１３時間ぶりの食事でした。精神料理は初めてでしたがとても美味しかったです。でもそれは、腹が減っていたからではなく、これも素直に、辛かった事から得た、なんて自分は、幸福なのだろう」という思いと、それと、付随して、料理を作って頂いた方への感謝の念も含めた美味しさであったのだと思いました。その様な事で初体験ばかりの事で、やっと一日の終わる就寝時には、まさに「無」で眠っていました。
次ぎ日は、朝５：００に起き仕たくを済ませて、朝勤をしました。今思いますと、この３日間の体験修行の中で一番辛かった時でした。しかし、この時、私は、何か一皮ムケた気がしました。
１時間以上も正座をして、お経を、あげている時は、昨夕以上の激痛と変な脂汗が出ていました。その中で、昨夕と違って、ある種、悟の様なもの(えらそうないい方ですが)が生まれました。その理由は、南無妙法連華経と何回も自分も一緒に唱えているうちに、目の前で、住職様が他の人の事も含めて私や私の先祖の事もご祈願して頂いている姿を見て、自分は、いままで、なんて無駄の多い人生をすごしてきたのだろうと思いました。
そして、これから「やってやろ!」という気力も生まれました。脂汗をかきながら、学生時代部活の合宿を思い出しました。とても、懐かしい思いをしながらただひたすら南無妙法連華経と、唱え続け、朝勤が終わった後は、とても清々しい気持ちになりました。その後、本堂のそうじをして、朝食であったのですが、その朝食は、私のいままでの食事の中で、一番良かったもののように思います。まさに、一皮むけて、フルモデルチェンジした後の食事だったので昨夕食以上の感謝の気持ちと、自分の環境の幸福さを実感したからだと思います。
その後の一皮むけた私は、自分で書くのもなんですが、何をやっても考え方が変わったと思いました。例えば、境内作業で、草むしりを命じらた時も、むしっている草と自分の姿を感じて、なんだか「草とは、自分のいままでの心にためた悪い事で、その悪い事を、今自分で一つ一つきれいに、かたづけているんだ」と、思いました。(ちょっと単純な考え方ですけど、草むしりをただ単調な作業としてでなく、自分にとって楽しく作業ができたという点で、考え方しだいで何でも変われるのだとまた思いました。)この３日体験修行で、すべての行い(行?といっていいのか・・・)以上に、記した、自分の考え方が、自分の行いによって、変わったといいますか今まで、考えていなかったことを痛感しました。
そして、この三日体験修行の中で、最も印象が深く自分が変わった原因になったのは、住職様のご講義でした。その中でも私は(ほとんどの人)が認識不足であると思った事は、宗教とは、神さまを拝んで、神さまに何かを期待することではなく、人生においての「要(かなめ)」の考え方であるということでした。まさに教えて頂いた事すべてが「神を信じろ!」ということでなく、我々が日々、幸福に生きられる為の考え方であり、気持ちの持ち方であるということでした。私は、この三日修行を終えまた日常の生活に戻りますがこの三日間で培った事を、いつまでも忘れない様、日々反復するように心掛けます。１０年間この心がけを忘れなければ、とてもすばらしい人間に、なっていると思いました。三日間ありがとうございました。心よりお礼申し上げます。
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