千葉市 Ｎ．Ｋ（２５歳男性 美容師見習）
この五日間、お寺で修行をさせてもらい、お上人様から色々と考え方や行動について言われてきました。お上人様には、疑問に思っていることや自分の欠点などが分かってしまい、何故、自分のことをここまで知っているのかと不思議でした。
今、振り返って見れば、ここに来て、お上人様に言われたことで、今までの自分が何でこんな事が出来なかったのだろうか、もっと以前から計画性を持って行動をすれば良かったと思いました。自分の中に甘さがあったに違いありません。ただ、最初入門したときは、すごくびっくりしました。正座がもの凄く辛くて、声を出すことに集中できなく、足の痛さばかりに集中してしまいました。拷問にかけられているようでした。
修行中は、寺の中で一人孤独になっていたような気がします。例えて言うなら、留置場に入れられている感じがして、早く家に帰りたいという思いが、常に頭によぎってばかりでした。二日間は、ただ、時間が早く過ぎていくことばかり願っていました。
二日目の夜、会社のＭさんに、内緒で「明日は誰が迎えに来てくれるのでしょうか？」と電話をしてしまいました。その事が会社の社長の耳に入り、ここのお上人様の所へ連絡が入ったようで、その事が、後でとんでもない地獄を見る羽目になってしまいました。何故、始めから入門した時に携帯をお上人に預けなかったのか・・・。それは、自分のどこかに甘さがあったからだと反省は出来たのですが・・・・。
いよいよ三日目最終日、お上人様から、もう二日間残って頑張りなさいと言われてしまいました。気持ちは、最終日でもう帰れると思っていたのですから、もの凄くショックを受けて泣きたい気持ちでした。会社の研修の一環として体験修行を受けたものですから、正直、仕方なく来たわけです。電話事件で社長とお上人が打ち合わせ済みで、「帰してください。」とお願いしても、「このままでは君のためにならないよ！」、「社長には話をしてあるので電話しなさい。」と言われたので、電話してみると、あっさり「お上人に任せてあるので、何日でもそこに居て、お上人からお許しが出たら帰って来い」と言われて驚いてしまいました。正直、言われたときは冗談だと思っていました。現実と知り、このままダラダラと修行していたのでは、本当に帰れないと思いました。
お上人にも、「君は今日から本当の体験修行だからね」と笑って言われたときは、ショックだったです。確かに最初の二日間は、自分でも分かっていましたが、全く甘さがとれて無く、これからがスタートだと考え直して、気持ちの上で積極的になる様に心がけました。すると、あれだけ嫌々やっていた行動が、何事にもスムーズに動けるような感じや、自分から進んで掃除でも境内作業でもやろうという気持ちが芽生えてきました。僕は、今まで人から言われた事だけで、指示が無ければ自分から仕事を探してまでやろうとは思いませんでした。今回の修行を通して、人から言われて動いているだけではいけないと思いました。
後の成果は、自分自身もやることをやればこれだけ出来るんだと自信がつきました。お経を唱たり、唱題行で声を出すにしても、境内作業をやるにしても、今までの人生で、自分をここまで苦しめたことはなかった気がします。
声を出す時も、声が出なくなるまで必死に大きな声を出し、絶対に負けない、必ずやってみせるという気持ちになって、唱題行が終わった時には、目と頭と体がジンジンして、満足感と充実感を覚えました。とても不思議な感じでした。この修行でやったことを、今後の人生に決して忘れないように、何事にも取り組んでみようと思いました。
また、この五日間の内観で、親の有り難みがいやというほど解りました。母は、離婚後、自分を一人で育ててくれました。いろいろ思い出してみると、小、中学生の時は、野球や塾などに通わせてもらったり、野球の時は、忙しい中、応援にも来てくれたり、土日には、朝早くから弁当などユニホームなど作って出してもらったり、小学三年生の時、野球のバットとグローブを買ってもらったこと、今でも忘れていません。
高校時代は、野球で推薦入学したので、練習は朝早くから夜遅くまで、毎日が野球の日々でした。それでも母は、朝早く起きて弁当を作ってくれ、夜はどんなに遅くなっても夜食を作ってくれました。考えると母は、どんなに苦しくても辛くても、自分の事を一番に考えて応援してくれました。無理をしていた母は、高校三年生の夏の大会前に癌で入院しました。一時はびっくりしましたが、無事に手術は成功しました。その後も母は、高い金を出して、僕を東京の専門学校に入学させてくれました。そこで情報関係の勉強をして無事に卒業して、就職してもなんとなく目的意識も無く勤めたものですから、社会人となっても学生気分の延長で、面白くも無かったので辞めてしまいました。
母には、この２５年間いろいろ迷惑をかけてきました。改めて『恩を受けたことや受けた人』と題して自分を振り返ると、何もかもしてもらって当たり前になっていました。こんなに素晴らしい母に対して、自分勝手な馬鹿ことをして、親不孝を繰り返していたのか、本当に甘えていて子供のまま成長していなかった。とても恥ずかしいことです。今後、自分は親の有り難さに感謝して、母を大事にしたいと思います。
また、私の場合、悪友も多いので、誘いがあると上手く断ることが出来ず、困る時がありますが、仕事などで忙しくしている時などは断れるようになりたい。また、曖昧な考えで行動せず、イエス・ノーの使い方を考えて行動するようになりたい。また、物事に集中し、積極的に取り組む姿勢を忘れないようにしたいと思います。会社の社長に受けた恩や期待を裏切らないように頑張ろうと思います。ここ５日間の修行で学んだことを忘れず、仕事や外の事でも考え、プラス思考でこれからの人生を送っていきたいと思います。
最後に、奥様には食事や洗濯などしてもらいお世話になりました。修行が終わった時の食事は最高に美味しかったです。また、奥様には、もっと自分をアピールするようにと助言を頂きました。今後は、お客様に自分を覚えてもらえるように、努力をしていきます。
ここの修行で学んだことは、甘さ・ずるさ・怠け者の自分と決別して、新しい自分になって、行動に責任を持ちたいと思います。この５日間は本当に辛い日々でしたが、もし３日間で帰っていたら、今の自分はなく、甘ちゃんの自分が何の進歩の無いまま、バカな事を繰り返す事になっていたと思います。２日間延長して頂いた事は、今考えると本当に良かったと思います。お上人様、奥様、ありがとうございました。
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